写真で証拠を残す
レンタカーの傷トラブルを防ぐ:借りる前と返却時の記録
レンタカーの傷トラブルは、借りる前と返却時に、店員と一緒に傷を確認して写真に残せば防げます。NOC(休業補償)の仕組み、傷をつけたときの連絡、覚えのない傷を請求されたときの対処をまとめました。

レンタカーの傷トラブルを防ぐ一番の方法は、借りる前と返却時に、店員と一緒に車の傷を確かめ、写真と動画に残すことです。小さな傷でも、借りる前に見つけたらチェックシートに書いてもらいます。運転中に傷をつけたり、覚えのない傷に気づいたりしたら、その場ですぐに警察とレンタカー会社に連絡しましょう。連絡しないと、保険や補償が使えないことがあります。
レンタカーを返した後に「傷がついていた」と連絡が来ると、身に覚えがなくても反論するのは難しいものです。国民生活センターは2025年3月、レンタカーの傷をめぐるトラブルについて注意を呼びかけました。以下では、レンタカーの傷トラブルの典型例と、借りる前と返却時の記録の取り方、補償の仕組みを紹介します。
レンタカーの傷トラブル:よくある二つのパターン
レンタカーの傷トラブルは、大きく二つに分かれます。一つは、返却した後に、覚えのない傷の修理代を請求されるケースです。もう一つは、保険や補償をつけていたのに、思わぬ費用を請求されるケースです。
国民生活センターが紹介した事例では、40歳代の女性が、借りるときに自分のスマートフォンで車の動画と写真を撮っていました。返却時には担当者が立ち会い、問題ないと言われて終わりました。ところが後日、「清掃中にサイドミラーの傷に気付いた」と賠償を求める電話がかかってきました。
別の事例では、補償の手厚いフルカバーの保険をつけていた10歳代の男性が、走行中についた傷を報告したところ、ノンオペレーションチャージ(NOC)として2万円を求められました。保険をつけていても、NOCは別にかかることがあるのです。
NOC(ノンオペレーションチャージ)とは
NOCは、修理などで車を貸し出せない間の、レンタカー会社の損害を補う費用です。国民生活センターによると、免責補償制度(保険)に加入していても請求され、会社によっては、この支払いを免除するオプションを設けている場合もあります。
NOCの金額や、免除のオプションの有無は、レンタカー会社によって違います。契約する前に、ホームページや店舗で貸渡約款や利用ガイドを確かめましょう。国民生活センターは、確認すべき点として次の四つを挙げています。
- 保険の補償額と免責額
- 保険や補償制度の適用条件
- 事故やトラブルが起きたときの対応方法と、レンタカー会社の連絡先
- NOC(休業補償費)
分からない点は、納得するまで店舗で聞いてから借りましょう。
借りる前に:レンタカーの傷を記録する方法
レンタカーの傷トラブルを防ぐには、借りる前の確認に時間をかけることが大切です。国民生活センターも、利用前と返却時は時間に余裕をもつことが重要だとしています。
- 店員と一緒に確認する: 車の周りを一緒に回り、傷やへこみを指さしで確かめます。
- チェックシートに書いてもらう: 細かい傷でも、必ず記録用紙に反映してもらいます。
- 動画で一周する: 車の周りを歩きながら、一続きの動画を撮ります。
- 気になる傷は近くで撮る: バンパー、ドア、ミラー、ホイールの傷を、場所が分かるように撮ります。
- 内装も撮る: シートの汚れや焦げ、ダッシュボードの傷も記録します。
燃料の量や走行距離のメーターも、撮っておくと安心です。撮った写真と動画は、返却が終わるまで消さずに残しておきましょう。
写真の撮影日時をはっきりさせる方法は、写真の日付のガイドでも紹介しています。撮った写真をその場で店舗にメールで送っておくと、いつの写真かを後から示しやすくなります。

運転中に傷をつけたら:すぐに警察と会社に連絡
運転中に傷をつけたり、覚えのない傷に気づいたりしたら、その大小にかかわらず、その場ですぐに警察とレンタカー会社に連絡します。国民生活センターは、所定の手続きをしなかった場合、保険や補償制度が適用されず、修理代などが自己負担になる可能性があると注意しています。
事故の場合、運転者には、道路交通法の第72条により、警察に報告する義務があります。保険を使うときには、警察に届け出た事故について発行される交通事故証明書が必要になることが多いです。
事故の現場では、安全を確保したうえで、車の位置や傷、相手の車、道路の状況を写真に撮ります。事故の後にすることは、交通事故の対応のガイドで詳しく紹介しています。
返却時に:レンタカーの傷を一緒に確かめる
返却時も、借りるときと同じように、店員と一緒に車の傷を確かめます。国民生活センターは、利用前だけでなく、返却時も写真を撮っておくことが有効だとしています。
返却時の写真は、借りるときと同じ場所を、同じ角度で撮るのがコツです。並べて比べられるので、傷が増えていないことを示しやすくなります。返却の確認が終わったら、問題がなかったことを確認書類などに残してもらえるか聞いてみましょう。
急いでいると、返却時の確認がおろそかになりがちです。返却の時間には余裕をもって店舗に着くようにしましょう。夜間や営業時間外の返却で、店員の立ち会いがない場合は、特に念入りに写真と動画を撮っておきます。
覚えのないレンタカーの傷を請求されたら
返却後に、覚えのない傷の修理代を請求されたら、すぐに払わず、次のことを確かめます。
- 傷の写真と場所を求める: どこに、どんな傷があるのか、写真で示してもらいます。
- 自分の記録と比べる: 借りるときと返却時の写真や動画に、その傷が写っていないかを確かめます。
- チェックシートを確かめる: 借りるときのチェックシートに、その傷が書かれていないかを見ます。
- 約款を確かめる: 請求の根拠になる約款の条文と、金額の内訳を求めます。
返却時に問題がないと確認された車について、後から請求されたのなら、その経緯も伝えましょう。話し合いがまとまらなければ、消費者ホットライン「188」で消費生活センターに相談できます。写真を証拠として残すときの考え方は、写真の証拠のガイドで紹介しています。
撮影日時が確かめられる写真で記録する
レンタカーの傷トラブルでは、「その写真は本当に借りるときに撮ったのか」と疑われることがあります。スマートフォンの写真の日時は、後から変えられるからです。
KatiTrustのようなカメラアプリでは、アプリで撮った写真や動画に確認コードが付き、相手はkatitrust.comで、撮影後に変更されていないこと、撮影日時、おおよその場所を確かめられます。確認コードは一定期間だけ有効なので、借りるときと返却時に撮ったら、その場で店舗に見せるか送って確かめてもらいましょう。元のファイルは、別に保存しておきます。
よくある質問:レンタカーの傷について
レンタカーの小さな傷も報告すべきですか?
はい。国民生活センターは、事故や覚えのない傷に気づいたときは、その大小にかかわらず、すぐに警察とレンタカー会社に連絡するよう勧めています。所定の手続きをしないと、保険や補償制度が使えず、修理代が自己負担になることがあります。
保険に入っていればNOCは払わなくていいですか?
NOCは、免責補償制度(保険)に加入していても請求されることがある休業補償費です。会社によっては、NOCを免除するオプションを用意しています。契約する前に、NOCの金額と免除の条件を確かめておきましょう。
返却後に覚えのない傷を請求されたらどうすればいいですか?
すぐに払わず、傷の写真と場所、請求の根拠と内訳を求めます。借りるときと返却時の写真やチェックシートと比べ、その傷が前からあったものか確かめましょう。話し合いがまとまらなければ、消費者ホットライン「188」に相談できます。
借りるときに見つけた傷は、どう記録すればいいですか?
店員と一緒に確かめ、細かい傷でも必ずチェックシートに書いてもらいます。あわせて、場所が分かる写真と近くの写真を撮り、車の周りを一周する動画も撮っておきましょう。燃料計や走行距離のメーターも撮っておくと安心です。
レンタカーで事故を起こしたら、まず何をしますか?
安全を確保し、けが人がいれば救護して、警察に連絡します。そのうえで、レンタカー会社に連絡し、指示に従います。現場の写真を撮り、相手がいれば連絡先と保険会社を確かめましょう。警察への届け出がないと、保険が使えないことがあります。
おわりに:レンタカーの傷トラブルは、記録で防げる
レンタカーの傷トラブルは、借りるときと返却時の数分の確認で、ほとんど防げます。店員と一緒に傷を確かめ、チェックシートに書いてもらい、写真と動画に残す。運転中に傷をつけたら、すぐに警察とレンタカー会社に連絡する。この流れを覚えておきましょう。
旅行先で借りるときほど、時間に追われがちです。返却の時間に余裕をもち、記録を残してから車を返せば、旅行の後に思わぬ請求で悩むことはぐっと減ります。


