写真で証拠を残す
交通事故の対応の手順:事故直後から保険の連絡まで
交通事故の対応は、安全の確保、けが人の救護、警察への連絡が最初です。そのうえで現場の写真、相手の確認、保険会社への連絡を進めます。事故直後の手順と、後で困らない記録の残し方をまとめました。

交通事故の対応で最初にすることは、三つです。車を止めて安全を確保すること、けが人がいれば救護すること、警察に連絡することです。この三つは、道路交通法で運転者に義務づけられています。そのうえで、現場の写真を撮り、相手の連絡先と保険会社を確かめ、自分の保険会社に連絡します。その場で示談の約束はしないでください。
交通事故は、誰にとっても突然の出来事です。気が動転して、何をすればいいか分からなくなるのは当然です。以下では、交通事故の対応の手順を、事故直後から保険の連絡、その後の手続きまで順番に紹介します。被害者の立場でも、加害者の立場でも、基本の流れは同じです。一般的な情報であり、法的な助言ではありません。
交通事故の対応の手順:最初の10分ですること
交通事故の対応は、安全、救護、通報の順番が基本です。道路交通法の第72条は、交通事故があったとき、運転者は直ちに運転を止めて、負傷者を救護し、道路での危険を防ぐなど必要な措置をとらなければならないと定めています。
- 車を止める: 安全な場所に車を寄せ、ハザードランプをつけます。
- けが人を救護する: けが人がいれば、すぐに119番に電話し、できる範囲で救護します。
- 危険を防ぐ: 発炎筒や三角表示板で、後ろの車に事故を知らせます。
- 警察に連絡する: 110番に電話し、事故の日時、場所、けが人の数や程度、壊れた物などを伝えます。
- 自分の安全を守る: 高速道路などでは、ガードレールの外など安全な場所に避難します。
同じ第72条は、運転者が警察官に、事故の日時と場所、死傷者の数とけがの程度、壊れた物とその程度などを報告しなければならないと定めています。小さな事故でも、相手が「警察は呼ばなくていい」と言っても、必ず警察に連絡しましょう。
警察への届け出が大切な理由
警察への連絡は、法律上の義務であるだけでなく、後の手続きのためにも大切です。保険金を請求するときには、交通事故証明書が必要になることが多いです。交通事故証明書は、警察に届け出た事故について、自動車安全運転センターが発行します。
警察に届け出ていない事故では、この証明書を受け取れません。その場で示談にしてしまい、後から相手の言い分が変わったり、体に痛みが出たりしても、事故があったことを示すのが難しくなります。
けががある場合は、人身事故として届け出るかどうかも大切です。事故の直後は痛みを感じなくても、後から症状が出ることがあります。少しでも体に違和感があれば、病院で診てもらいましょう。
現場で撮る写真:交通事故の証拠を残す
安全を確保し、警察に連絡したら、現場の写真を撮ります。事故の状況は、車を動かすと分からなくなります。危険がない範囲で、車を動かす前に撮りましょう。
- 全体: 両方の車の位置関係が分かるよう、少し離れた場所から撮ります。
- 車の傷: 自分の車と相手の車の、壊れた部分を近くで撮ります。
- ナンバープレート: 相手の車のナンバーを、読めるように撮ります。
- 道路の状況: 信号、標識、道路の白線、ブレーキの跡を撮ります。
- 周りの様子: 天気、明るさ、見通しが分かる写真も残します。
ドライブレコーダーの映像は、上書きされる前に保存しましょう。目撃者がいれば、名前と連絡先を聞いておくと、後で証言を頼めることがあります。写真を証拠として残すときの考え方は、写真の証拠のガイドで紹介しています。

相手の確認:聞いておくべきこと
事故の相手がいる場合は、次の情報を確かめます。後で連絡が取れなくなると、損害の請求が難しくなります。
- 名前と連絡先: 氏名、住所、電話番号。運転免許証を見せてもらえると確実です。
- 車の情報: ナンバー、車の持ち主(運転者と違う場合)。
- 保険: 自賠責保険と任意保険の保険会社、証券番号。
- 勤務先: 仕事中の事故なら、勤務先の名前と連絡先。
相手がその場から立ち去ろうとしたら、ナンバーを控え、警察に伝えます。けが人を救護せずに立ち去るのは、ひき逃げです。
その場で示談しない:交通事故の対応の注意点
事故の現場で、「修理代を払うから警察は呼ばないで」「ここで話をつけよう」と言われることがあります。こうした提案には応じないでください。その場での口約束は、後で守られないことが多く、けがが分かったときに困ります。
過失の割合も、その場で決める必要はありません。「すみません」と謝ること自体は自然なことですが、「全部こちらが悪い」と認める約束はしないようにしましょう。過失の割合は、保険会社が事故の状況をもとに話し合って決めるのが一般的です。
相手が感情的になっているときは、無理に話し合わず、警察の到着を待ちます。
保険会社への連絡とその後の手続き
現場での対応が終わったら、自分の保険会社に連絡します。多くの保険会社は、事故の受付を24時間受け付けています。事故の日時、場所、相手の情報、けがの有無を伝えましょう。
人身事故の損害については、自賠責保険があります。自動車損害賠償保障法の第3条は、自動車の運行によって他人の生命や身体を害したとき、運行の用に供する者が損害を賠償する責任を負うと定めています。自賠責保険は、この損害を補う強制保険です。
示談の進め方や損害賠償の金額に疑問があるときは、専門の相談窓口を使いましょう。日弁連交通事故相談センターでは、弁護士による無料の相談を受けられます。
レンタカーやカーシェアでの事故
レンタカーやカーシェアで事故を起こしたときも、基本の対応は同じです。安全の確保、救護、警察への連絡をしたうえで、レンタカー会社に連絡します。国民生活センターは、事故や傷に気づいたら、その大小にかかわらず、すぐに警察とレンタカー会社に連絡するよう勧めています。
所定の手続きをしないと、保険や補償が使えず、修理代を自分で払うことになる場合があります。休業補償のNOCなど、レンタカー特有の費用もあります。詳しくはレンタカーの傷のガイドで紹介しています。
撮影日時を確かめられる写真で記録する
事故の写真は、後から「いつ撮ったのか」「加工していないか」と問われることがあります。KatiTrustのようなカメラアプリでは、アプリで撮った写真や動画に確認コードが付き、相手や保険会社はkatitrust.comで、撮影後に変更されていないこと、撮影日時、おおよその場所を確かめられます。
確認コードは一定期間だけ有効なので、撮ったらすぐに相手や保険会社に送って確かめてもらい、元のファイルは別に保存しておきましょう。ただし、事故の現場で最優先なのは安全と救護です。写真は、安全を確保した後に撮ってください。写真の日付の残し方は、写真の日付のガイドでも紹介しています。
よくある質問:交通事故の対応について
交通事故を起こしたら、まず何をすればいいですか?
車を止めて安全を確保し、けが人がいれば救護して、警察に連絡します。この三つは道路交通法の第72条で運転者に義務づけられています。そのうえで、現場の写真を撮り、相手の情報を確かめ、自分の保険会社に連絡しましょう。
小さな事故でも警察に届け出る必要がありますか?
はい。道路交通法は、事故の大小にかかわらず、運転者に警察への報告を義務づけています。警察に届け出ていない事故では交通事故証明書を受け取れず、保険金の請求で困ることがあります。相手に頼まれても、必ず警察に連絡しましょう。
事故の現場では、どんな写真を撮ればいいですか?
両方の車の位置関係が分かる全体の写真、車の傷、相手のナンバー、信号や標識、道路の状況を撮ります。車を動かす前に、安全を確保したうえで撮りましょう。ドライブレコーダーの映像も、上書きされる前に保存します。
その場で示談してもいいですか?
おすすめしません。その場での口約束は、後で守られないことが多く、けがが後から分かったときに困ります。警察に届け出て、保険会社を通して話し合うのが一般的です。過失の割合も、その場で決める必要はありません。
被害者になったら、どこに相談できますか?
まず自分の保険会社に連絡します。示談の進め方や賠償の金額に疑問があれば、日弁連交通事故相談センターで弁護士による無料の相談を受けられます。法テラスでも、相談先を案内してもらえます。
おわりに:交通事故の対応は、順番を覚えておく
交通事故の対応は、安全、救護、通報の順番が基本です。そのうえで写真を撮り、相手を確かめ、保険会社に連絡する。その場で示談の約束はしない。この流れを覚えておくだけで、いざというときに慌てずにすみます。
事故の後は、体の小さな違和感も見逃さないでください。早めに病院で診てもらい、記録を残しておくことが、自分を守ることにつながります。困ったときは、保険会社や専門の相談窓口を頼りましょう。
車に乗る家族とも、この順番を共有しておくと安心です。車の中に、保険会社の連絡先と、この手順を書いたメモを置いておくのもよい方法です。


