偽の写真とAI画像
AI画像の見分け方:生成AIで作られた写真を見抜くポイント
AI画像の見分け方は、手や文字、背景、光の不自然さを見ることと、出どころや来歴情報を確かめることの組み合わせです。見た目の手がかりの限界と、判定ツールの注意点もまとめました。

AI画像の見分け方は、二つの方向から考えます。一つは見た目で、手や指、文字、背景の細部、光と影の向きに不自然さがないかを見ること。もう一つは出どころで、誰がいつ投稿したか、同じ画像が他にないか、来歴情報が付いているかを確かめることです。新しい生成AIほど見た目の痕跡は少ないので、出どころの確認が大切になっています。
生成AIを使えば、誰でも数秒で写真のような画像を作れるようになりました。SNSの投稿、フリマの出品、マッチングアプリのプロフィールにも、AI画像が混ざっています。以下では、AI画像の見分け方を、見た目の手がかり、出どころの確認、判定ツールの順に紹介し、それぞれの限界も説明します。
AI画像の見分け方:見た目の7つの手がかり
AI画像には、よく見ると不自然な点が残ることがあります。拡大して、次の点を確かめましょう。どれか一つで決めつけず、いくつか重なるかを見ることが大切です。
- 手と指: 指の数や長さ、関節の曲がり方、指と物の重なりがおかしくないか。
- 文字: 看板、服のロゴ、本の表紙の文字が、読めない形や意味のない並びになっていないか。
- 背景: 背景の人の顔、建物の窓、柵や電線が、途中で形を変えたり溶けたりしていないか。
- 左右の対称: イヤリングやメガネ、服のボタンが、左右で形や数が違っていないか。
- 光と影: 光の来る方向と、影の向きや長さが合っているか。
- 質感: 肌や髪がなめらかすぎる、プラスチックのように見える、ということはないか。
- 反射: 鏡や窓、目の中に映る景色が、周りと合っているか。
AI画像は全体の雰囲気はきれいでも、細部でつじつまが合わなくなることがあります。特に、写真の端や背景は手を抜かれやすい場所です。
AI画像を見るときのコツ:拡大と比較
見た目の手がかりを探すときは、スマートフォンの小さな画面で全体を眺めるだけでは足りません。画像を拡大し、手、顔の輪郭、髪と背景の境目、写真の四隅を一つずつ確かめましょう。パソコンの大きな画面で見ると、細部の不自然さに気づきやすくなります。
同じ人物や場所の写真が複数あるなら、見比べるのも有効です。AIで作った人物は、写真ごとに耳の形やほくろの位置、歯並びが微妙に変わることがあります。本物の人物なら、こうした特徴は写真が変わっても同じです。
見た目の手がかりには限界がある
ここで紹介した見た目の手がかりは、古いAIや、雑に作られた画像には有効です。でも、新しい生成AIでは、手も文字も自然に描けるようになってきました。見た目だけでAI画像を見抜くのは、どんどん難しくなっています。
総務省の情報通信白書も、生成AIの進歩で非常に高品質な画像や動画が作れるようになり、ディープフェイクへの対策がいたちごっこの様相を呈していると書いています。白書は、生成AIで作られた岸田総理大臣の偽動画がSNSで拡散した例も挙げています。
不自然な点が見つからないことは、本物の証明ではありません。見た目の確認は、出どころの確認と必ず組み合わせましょう。

出どころを確かめる:AI画像の見分け方の基本
AI画像の見分け方で、見た目より確かなのが出どころの確認です。次の点を調べましょう。
- 最初の投稿者: その画像を最初に投稿したのは誰か。信頼できる報道機関や本人のアカウントか。
- 画像検索: 同じ画像や似た画像が、別の場所に、別の説明で載っていないか。
- ほかの写真: 同じ場面を写した写真が、ほかの人からも投稿されているか。
- アカウントの履歴: 投稿したアカウントが、最近作られたものや、AI画像ばかり投稿するものではないか。
本当に起きた出来事なら、同じ場面を別の角度から写した写真や動画が、複数の人から投稿されることが多いです。一枚だけの衝撃的な画像は、慎重に扱いましょう。画像検索のやり方は、画像検索のやり方のガイドで紹介しています。
来歴情報とメタデータを確かめる
画像に、作られた経緯の情報が付いていることもあります。一部の生成AIやカメラ、編集ソフトは、コンテンツクレデンシャルと呼ばれる来歴情報を画像に付ける取り組みを進めています。この情報は、Content Credentialsの確認サイトで調べられます。
ただし、来歴情報が付いていない画像のほうが、まだずっと多いのが現状です。SNSに投稿すると消えてしまうこともあります。来歴情報がないことは、AI画像の証拠でも、本物の証拠でもありません。
写真のメタデータに、撮影したカメラやスマートフォンの機種が残っていれば、手がかりになります。メタデータの見方はExifの確認のガイドにあります。ただし、メタデータは書き換えたり消したりできます。
AI画像の判定ツールの注意点
ネット上には、画像がAIで作られたかを判定するツールもあります。参考にはなりますが、結果をうのみにしないでください。判定ツールは、本物の写真をAI画像と判定したり、AI画像を本物と判定したりすることがあります。
特に、写真を圧縮したり、切り取ったり、加工したりすると、判定の精度は下がります。新しい生成AIで作られた画像には、ツールが対応していないこともあります。判定ツールの結果は、ほかの確認と合わせて使う手がかりの一つと考えましょう。
場面別:AI画像に気をつけたいところ
AI画像が問題になる場面は、主に三つです。
SNSと広告: 著名人がすすめる投資の広告に、AIで作った画像や動画が使われることがあります。警察庁は、SNS型投資詐欺のきっかけになったバナー広告などで、著名人の画像や動画を無断で使用した広告が確認されていると公表しています。動画や音声のディープフェイクは、ディープフェイクの見分け方のガイドで紹介しています。
マッチングアプリ: プロフィールの写真が、AIで作った架空の人物のことがあります。偽のプロフィールの見分け方は、マッチングアプリの業者の見分け方のガイドにあります。
フリマと通販: 商品の写真が、AIで作られたり、AIで加工されたりしていることがあります。確認の全体像は、写真が本物か確かめる方法にまとめました。
AI画像では作れない確認を頼む
相手がいる場面なら、AI画像では作りにくい確認を頼むのが一番です。短いビデオ通話をお願いする、手を振ってもらう、物を持って角度を変えてもらう、などです。画像を用意しただけの相手には、その場での確認は難しいものです。
KatiTrustのようなカメラアプリでは、アプリで撮った写真や動画に確認コードが付き、ギャラリーからはアップロードできません。受け取った人はkatitrust.comで、撮影後に変更されていないこと、撮影日時、おおよその場所を確かめられます。アプリのカメラで撮った画像だけにコードが付くので、AIで作った画像にコードを付けることはできません。
よくある質問:AI画像の見分け方について
AI画像を一番簡単に見分ける方法は?
手や指、文字、背景の細部を拡大して見るのが手軽です。ただし、新しい生成AIでは痕跡が少ないので、見た目だけでは判断できないこともあります。誰がいつ投稿したか、画像検索で同じ画像がないかもあわせて確かめましょう。
AI画像の判定ツールは信頼できますか?
参考にはなりますが、完全ではありません。本物の写真をAI画像と判定したり、その逆になったりすることがあります。圧縮や加工でも精度は下がります。判定結果は、出どころの確認などと合わせて使う手がかりの一つと考えましょう。
マッチングアプリのプロフィールがAI画像か分かりますか?
写真がきれいすぎる、背景がぼやけている、どの写真も同じ角度、という場合は注意が必要です。画像検索で同じ写真を探し、それでも迷うなら、短いビデオ通話をお願いするのが確実です。
不自然な点がなければ、本物の写真ですか?
そうとは限りません。新しい生成AIは、手や文字も自然に描けるようになっています。不自然な点がないことは、本物の証明にはなりません。出どころや来歴情報の確認と組み合わせて判断しましょう。
AI画像を見つけたら、どうすればいいですか?
詐欺の広告や、なりすましのプロフィールに使われていたら、SNSやアプリの運営に報告しましょう。お金の被害が出た場合は、警察に相談します。真偽が分からない画像は、拡散しないことも大切です。
おわりに:AI画像の見分け方は、見た目と出どころの組み合わせ
AI画像の見分け方は、見た目の手がかりと、出どころの確認の組み合わせです。手や文字、背景を拡大して見る。誰がいつ投稿したか、画像検索で同じ画像がないかを確かめる。迷ったら、相手にその場での確認を頼む。この三つを覚えておきましょう。
生成AIは、これからも進化していきます。見た目だけで見抜くのは、ますます難しくなるでしょう。だからこそ、一枚の画像だけで信じたり、拡散したりせず、確かめる習慣を持つことが大切です。


