フリマとネット通販
直接取引の詐欺:アプリの外で払うと守られない理由
直接取引の詐欺は「手数料が安くなる」「LINEで話そう」という誘いから始まります。アプリの外での支払いが危ない理由と、振り込んでしまったときの対処をまとめました。

直接取引の詐欺は、フリマアプリの外で代金を払わせ、商品を送らない手口です。「手数料分を値引きします」「LINEのほうが早いです」と誘われたら、その時点で取引をやめましょう。アプリの外で払った代金は、事務局の補償の対象になりません。
フリマアプリの決済には、代金を事務局が預かり、商品が届いてから出品者に渡す仕組みがあります。直接取引は、その守りを自分から外してしまう行為です。だから詐欺師は、さまざまな理由をつけてアプリの外へ連れ出そうとします。以下では、誘い文句の見分け方と、払ってしまったときの動き方を紹介します。
直接取引の詐欺とは:アプリの決済を外させる手口
直接取引の詐欺とは、フリマアプリやオークションで知り合った相手が、アプリの決済を使わずに代金を払わせ、商品を送らずに消える手口です。銀行振込、送金アプリ、ギフト券、現金書留などが使われます。アプリの外で払うと、事務局は取引の経緯を確認できず、補償も受けられません。
メルカリのガイドは、メルカリで用意された以外の決済方法を促すことも、応じることも禁止しています。この行為を「直接取引」と呼ぶこともあると書かれています。禁止の例には、銀行口座への直接振込、メルペイの「おくる・もらう」での直接支払い、オンラインギフト券、仮想通貨、現金手渡しが挙がっています。
アプリの外で払った場合、メルカリでは一切のサポートを受けられません。つまり、だまされても、事務局が代金を止めることも、補償することもできないのです。
よくある誘い文句:直接取引の詐欺はこう始まる
直接取引の詐欺の誘いは、親切な提案のように見えます。メルカリの注意喚起には、実際に詐欺に使われている言い回しが紹介されています。
- 手数料を口実に: 「手数料を安くするから、別のアプリで商談しませんか」
- 連絡の早さを口実に: 「コメントだと確認が遅れるので、連絡先を交換しませんか」
- 値引きを口実に: 「アプリ上の金額は安くするので、残りを対面で払ってください」
- 返金を口実に: 「返金は別の決済アプリで送るので、アカウントを教えてください」
どれも、こちらに得があるように聞こえます。しかし、得をするのは詐欺師です。アプリの外に出れば、相手はやり取りの記録を消し、アカウントを捨てて姿を消せます。
「まとめ買いなら安くする」「他にも欲しい人がいるので、今日中に振り込んでくれたら取り置く」という言葉も同じです。急がせて、考える時間を奪おうとしています。
なぜアプリの外での支払いは守られないのか
フリマアプリの決済は、いわば第三者が代金を預かる仕組みです。メルカリのガイドは、このエスクロー決済で出品者と購入者の双方を守っていると説明しています。購入者が受取評価をするまで、代金は出品者に渡りません。
直接取引では、この預かりがありません。お金は振り込んだ瞬間に相手の口座に入ります。商品が届かなくても、偽物が届いても、事務局はその取引を知らないので、間に入れません。
警視庁も、オークションやフリマの詐欺を防ぐ方法として、運営会社が提供する決済と配送のサービスを使うよう呼びかけています。ルールにない取引を持ちかけられたら断るように、とも書いています。

本人確認書類や「実績」を見せられても信用しない
直接取引の詐欺師は、信用させるための材料を用意しています。運転免許証の画像、過去の取引のスクリーンショット、他の購入者からのお礼のメッセージなどです。国民生活センターが紹介したチケットの事例でも、相手から運転免許証の画像が届いたので信用してしまい、送金後に連絡が取れなくなりました。
身分証の画像は、他人のものを盗んだり、加工したりできます。スクリーンショットも同じです。アプリの外で示された「証拠」は、アプリの決済の代わりにはなりません。
フリマアプリの中なら、本人確認済みのバッジや評価の履歴を見られます。ただし、それも絶対ではありません。警視庁は、自分で商品を購入して評価を上げている出品者もいると注意しています。評価の数だけでなく、内容と時期も見てください。
振り込んでしまったら:直接取引の詐欺の対処
直接取引の詐欺で振り込んでしまったら、すぐに動きます。まず、自分の銀行と振込先の銀行に連絡し、詐欺の被害にあったと伝えます。金融機関は、犯罪に使われた疑いのある口座の取引を止める措置をとります。根拠は振り込め詐欺救済法の第3条です。
- 銀行に連絡する: 振込日時、金額、振込先の口座番号と名義を伝えます。
- 証拠を保存する: 出品ページ、相手のアカウント、外部でのやり取りをすべて残します。
- 警察に相談する: 最寄りの警察署か、警察相談専用電話「#9110」に相談します。
- 事務局に報告する: 規約違反として、アプリに相手を報告します。
口座が凍結され、お金が残っていれば、のちに被害回復分配金として戻ってくることがあります。送金アプリやギフト券で払った場合の動き方を含め、詳しい順番はフリマ詐欺の対処法のガイドで説明しています。
メルカリ以外でも同じ:直接取引の詐欺はどこでも起きる
直接取引の詐欺は、メルカリだけの問題ではありません。ラクマもYahoo!フリマも、運営会社が代金を仲介する仕組みを用意しています。どのアプリでも、その仕組みの外に出た時点で守りは消えます。ラクマで目立つ手口はラクマ詐欺のガイドで取り上げています。
SNSや掲示板での売買は、もともとアプリの決済がありません。チケットやゲームのアカウント、限定品の取引でよく狙われます。SNSでのチケット取引の危険はチケット詐欺のガイドにまとめました。
フリマ全体でどんな詐欺が多いのかは、メルカリ詐欺の全体像のガイドで一覧にしています。どの支払い方法がどこまで守られるかは、フリマアプリを安全に使う方法で比べました。
出品者も注意:直接取引に誘う購入者
直接取引の誘いは、出品者にも来ます。「振り込むので、先に発送してほしい」「手数料を払いたくないので、口座を教えてほしい」という購入者です。メルカリのガイドは、購入者が支払いの前に発送を促すことも禁止しています。
口座番号を教えると、その口座が別の詐欺の振込先に使われることもあります。知らない人に口座情報を渡すのはやめましょう。出品者を狙うほかの手口は出品者の詐欺対策のガイドにあります。
まじめな出品者が購入者を安心させたいなら、アプリの外に出る必要はありません。たとえば、今撮った写真の確認コードを取引メッセージで送る方法があります。KatiTrustでは、購入者がkatitrust.comにコードを入力すると、写真が撮影後に変更されていないことと撮影日時を確認できます。
よくある質問:直接取引の詐欺について
メルカリで直接取引をするとどうなりますか?
メルカリのガイドでは、用意された以外の決済方法を促すことも、応じることも禁止されています。違反と判断されると、取引のキャンセルや利用制限の対象になることがあります。アプリの外で払った代金は、トラブルがあっても一切のサポートを受けられません。
「手数料を安くする」と言われたら、どう返せばいいですか?
「アプリの決済でお願いします」とだけ返し、それ以上は交渉しないのが安全です。それでも外部での取引を求められたら、取引をやめ、相手を事務局に報告しましょう。まじめな相手なら、アプリの決済を断る理由はありません。
相手が身分証を見せてきたら信用していいですか?
いいえ。身分証の画像は、盗まれたものや加工されたものかもしれません。国民生活センターにも、運転免許証の画像を見て送金し、連絡が取れなくなった相談が寄せられています。画像があっても、アプリの外で払う理由にはなりません。
振り込んだお金は取り戻せますか?
可能性はありますが、時間との勝負です。すぐに銀行へ連絡すると、振込先の口座が凍結されることがあります。口座にお金が残っていれば、預金保険機構の公告を経て、被害回復分配金として戻る場合があります。引き出された後では難しくなります。
現金手渡しなら直接取引でも安全ですか?
メルカリでは、現金手渡しでの決済も禁止されている方法の一つです。会って渡す場合も、偽物や故障品だったときにアプリの補償は受けられません。対面での売買が前提のサービスを使うなら、その場で商品を十分に確かめてから払いましょう。
おわりに:直接取引の詐欺は、アプリの中にいれば防げる
直接取引の詐欺は、どれも「アプリの外で払わせる」という一点で成り立っています。手数料、連絡の早さ、値引きなど、理由はさまざまでも、目的は同じです。誘われたら断り、相手を報告しましょう。
支払いはアプリの決済だけにし、届いた商品を確かめてから評価する。この二つを守れば、直接取引の詐欺はほとんど入り込む余地がありません。万が一振り込んでしまったら、ためらう時間をつくらず、すぐに銀行へ連絡してください。


