フリマとネット通販
三角詐欺とは:フリマで買い手と売り手が両方だまされる手口
三角詐欺は、仲介役が本物の出品を写し、買い手の代金で本物の商品を自分に送らせる手口です。フリマやSNSでの流れ、見分け方、巻き込まれたときの対処をまとめました。

三角詐欺とは、詐欺師が本物の売り手と本物の買い手の間に入り、二人をだまして商品を手に入れる手口です。買い手は本物の売り手に代金を払い、売り手は詐欺師が指定した住所に商品を送ります。詐欺師は一円も払わずに商品を受け取り、買い手と売り手が互いに相手を疑うことになります。
この手口が厄介なのは、お金の流れも商品の流れも、一見すると正しく見える点です。買い手が振り込んだ口座は本物の売り手のもので、売り手は確かに入金を受け取っています。以下では、フリマや個人売買での三角詐欺の流れ、見分け方、巻き込まれたときの動き方を説明します。法律の学説としての「三角詐欺」についても最後に触れます。
三角詐欺とは:三人の登場人物と流れ
フリマや個人売買でのこの手口には、三人が登場します。本物の売り手、本物の買い手、そして間に入る詐欺師です。詐欺師は、売り手には「買い手」として、買い手には「売り手」として振る舞います。どちらも、相手がまさか別人とつながっているとは思いません。
- 出品をまねる: 詐欺師は、本物の売り手の出品の写真と説明を写し、別の場所に同じ商品を安く出します。
- 両方と話す: 本物の売り手には買い手として、本物の買い手には売り手として連絡します。
- 代金を振り込ませる: 買い手には、本物の売り手の口座へ代金を振り込ませます。
- 商品を送らせる: 売り手には「入金したので、この住所に送ってください」と伝え、自分の住所に送らせます。
売り手は入金を確認して発送します。買い手は商品が届くのを待ちますが、何も届きません。買い手が振込先の名義で売り手を突き止めると、売り手は「代金は受け取ったし、商品も送った」と答えます。二人が言い争っているうちに、詐欺師は商品を手にして消えています。
三角詐欺の例:フリマとSNSでよくある形
アプリの決済を使わない取引で起きやすい手口です。フリマアプリの中でも、アプリの外での支払いに誘われたときに起こりえます。SNSや掲示板での個人売買、ゲームのアカウントやチケットの取引でも見られます。
よくある形の一つは、本物の売り手の出品を見つけた詐欺師が、その写真で別のサービスに出品するものです。買い手から問い合わせが来ると、詐欺師は本物の売り手に「買いたい」と連絡し、振込先の口座を聞き出します。その口座を、買い手に「私の口座です」と伝えるのです。
逆の形もあります。詐欺師が買い手を装って売り手に近づき、「家族が払うので、この名前で振込があります」と伝えます。実際に振り込むのは、詐欺師に別の取引でだまされた第三者です。どちらの場合も、名義が合わない振込や、住所の指定が怪しい合図になります。
三角詐欺の見分け方:買い手が見るポイント
買い手が見抜く手がかりは、口座名義、写真、話のつじつまです。次のどれかに当てはまったら、払う前に立ち止まりましょう。
- 名義が違う: 出品者の名前と、振込先の口座名義が一致しません。
- 写真に既視感がある: 同じ写真が、別のフリマアプリや過去の出品にあります。
- アプリの外を指定する: アプリの決済ではなく、銀行振込を強く求めます。
- 急がせる: 「他にも欲しい人がいる」「今日中に振り込んでくれたら取り置く」と言います。
写真が他から持ってきたものかは、画像検索で調べられます。警視庁も、メーカーのサイトやカタログの写真を転用している出品があるとして、出品者自身が撮った写真のほうが信頼度が高いと書いています。
ただし、この手口では、写真は本物の売り手が撮ったものです。写真が本物でも、その出品者が本物とは限りません。今この場で撮った写真を頼むなど、写真と相手が結びついているかを確かめることが大切です。

売り手が三角詐欺を見抜くポイント
売り手の側にも、注意すべき合図があります。振込の名義が、取引相手の名前と違うことです。「家族の名前で振り込みます」「会社の口座から払います」と言われたら、注意しましょう。
発送先の住所が、取引相手の名前や話と合わないときも同じです。転送サービスや、取引相手とは別の名前の住所を指定されたら、発送の前に確かめます。
フリマアプリの決済を使えば、この問題はほぼ起きません。代金は運営会社が預かり、購入者の住所に直接送るからです。メルカリのガイドは、銀行口座への直接振込など、用意された以外の決済方法を禁止しています。この手口の多くは、決まりを外れたところで起きます。
三角詐欺に巻き込まれたら:買い手の動き方
代金を振り込んだのに商品が届かないなら、まず振込先の口座名義の人と冷静に連絡を取ります。相手も被害者かもしれないからです。話がかみ合わないなら、詐欺師が間に入っていた可能性があります。
同時に、自分の銀行に連絡し、詐欺の被害にあったと伝えます。ただし、この場合の振込先は本物の売り手の口座です。口座の扱いや返金の方法は、金融機関と警察の判断になります。やり取りの記録、出品ページ、振込の記録を保存し、最寄りの警察署か警察相談専用電話「#9110」に相談しましょう。
具体的な相談の順番はフリマ詐欺の対処法のガイドで説明しています。
三角詐欺に巻き込まれたら:売り手の動き方
売り手は、知らないうちに詐欺の口座として使われた形になります。突然「お金を払ったのに商品が届かない」と連絡が来たら、相手を責める前に、自分が送った住所と相手の名前を確かめます。
違う人に送っていたら、売り手も被害者です。送った商品の追跡番号、取引相手とのやり取り、入金の記録をそろえて、警察に相談しましょう。受け取った代金を勝手に返したり使ったりする前に、警察や金融機関に扱いを相談するのが安全です。
出品者を狙うほかの手口は出品者の詐欺対策のガイドで紹介しています。
法律の用語としての三角詐欺
「三角詐欺」は、刑法の学説や判例でも使われる言葉です。そこでは、だまされた人と、財産の損害を受けた人が別人になる詐欺を指します。たとえば、裁判所をだまして相手の財産を取る訴訟詐欺や、他人のクレジットカードを使って店員をだます例が、教科書でよく取り上げられます。
刑法第246条の詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた者を十年以下の拘禁刑に処すると定めています。だまされた人と損害を受けた人が別の場合に、どこまで詐欺罪が成り立つかは、学説で議論されてきた論点です。
フリマの三角詐欺は、こうした学説上の議論とは別に、日常の取引で使われる呼び名です。被害にあったら、法律の分類を気にするより、記録を持って警察に相談することが先です。
三角詐欺を防ぐ一番の方法
三角詐欺を防ぐ一番の方法は、フリマアプリの決済と配送を使うことです。アプリの決済なら、代金は運営会社が預かり、商品は購入者の住所に送られます。間に誰かが入り込む余地がありません。
アプリの外で取引するなら、名義と住所が一致しているかを必ず確かめましょう。写真だけで相手を信じず、今撮った写真や動画を頼むのも手です。KatiTrustなら、出品者が今撮った写真の確認コードを送り、買い手はkatitrust.comで撮影日時を確かめられます。ただし、確認コードは写真がいつ撮られたかを示すだけで、相手が誰かまでは示しません。
フリマでよくあるほかの手口は、メルカリ詐欺のガイドで一覧にしています。
よくある質問:三角詐欺について
三角詐欺とは何ですか?
詐欺師が本物の売り手と本物の買い手の間に入り、買い手には売り手の口座へ代金を振り込ませ、売り手には自分の住所へ商品を送らせる手口です。詐欺師はお金を払わずに商品を手に入れ、買い手と売り手が互いを疑うことになります。
三角詐欺の被害者は誰ですか?
多くの場合、買い手と売り手の両方です。買い手は代金を払ったのに商品を受け取れず、売り手は代金を受け取ったものの、商品を詐欺師に送ってしまっています。どちらも、相手が詐欺師だと思い込みやすい点に注意が必要です。
振込先の口座名義の人は詐欺師ですか?
そうとは限りません。この手口では、振込先は本物の売り手の口座であることが多いです。相手を責める前に、何を誰に送ったかを冷静に確かめ、話がかみ合わなければ、記録を持って警察に相談しましょう。
三角詐欺を防ぐにはどうすればいいですか?
フリマアプリの決済と配送を使うことです。アプリの外で取引するなら、出品者の名前と振込先の名義、発送先の住所と取引相手の名前が一致しているかを確かめます。急がせる相手には応じないことも大切です。
刑法でいう三角詐欺と同じものですか?
言葉は同じですが、使われ方が違います。刑法の学説では、だまされた人と損害を受けた人が別人になる詐欺を三角詐欺と呼びます。フリマの三角詐欺は、日常の取引で使われる呼び名で、売り手と買い手の両方がだまされる手口を指します。
おわりに:三角詐欺は、名義と住所で見抜ける
この手口は、本物の写真、本物の口座、本物の配送を組み合わせるので、気づきにくい手口です。それでも、名義と住所という二つの点に注意すれば、多くは見抜けます。出品者の名前と振込先、取引相手と発送先が一致しているかを確かめましょう。
何より、フリマアプリの決済と配送の中で取引すれば、詐欺師が間に入る余地はほとんどありません。アプリの外での取引を持ちかけられたら、それだけで断る理由になります。


